地熱ヒーター

地熱ヒーター


地熱発電(ちねつはつでん、じねつはつでん、Geothermal power)とは、地熱(主に火山活動による)を用いて行う発電のことである。再生可能エネルギーの一種であり、枯渇性エネルギーの価格高騰や地球温暖化の対策手法としても利用拡大が図られつつある。

特徴
アイスランド・レイキャビク近郊に立地する同国最大の地熱発電所、Nesjavellir発電所

通常は蒸気発電(flash steam)と呼ぶ方法で、地下のマグマだまりの熱エネルギーによって生成された天然の水蒸気をボーリングによって取り出し(最初から蒸気の場合と、高 温・高圧の熱水を減圧沸騰させて蒸気を得る場合がある)、その蒸気により蒸気タービンを回して機械的エネルギーに変換し、発電機を駆動して電気を得る。蒸 気を採取するための坑井(蒸気井)の深さは、地下の構造や水分量などによって異なり、数10mから3,000mを超えるものまでさまざまである。 〔参考:Annual Report on Geothermal Energy Development in Japan - 2002 -〕


また、地下の温度や圧力が低く熱水しか得られない場合でも、アンモニアやペンタン・フロンなど水よりも低沸点の媒体を、熱水で沸騰させタービンを回して発電させることができる場合がある。これをバイナリー発電(binary cycle)という。

蒸気発電およびバイナリー発電では、発電に使った蒸気(復水器で凝縮されて水になる)や余った熱水を地表に放出・放流させると地下の蒸気や熱水が 枯渇してしまうおそれがある。また、熱水に含まれる金属などの成分が、河川や湖沼の水質に影響を与えることも懸念される。そのため、発電に使用した後の蒸 気や熱水は坑井を通じて地下に戻すことが行われる。これを還元という。還元用の井戸(還元井)は蒸気井よりも浅いことが多い。還元井は当初から還元井とし て掘削される他に、勢いの衰えた蒸気井が転用されることもある。

一方、還元する量が多すぎたり場所が悪かったりすると、地中の温度を下げたり、地中の蒸気や熱水の流れを乱してしまい、発電に利用可能な蒸気や熱水が得られなくなることがあるため、還元の際は適切な場所や量を選定する必要がある。

蒸気や熱水が溜まっている地中の部位は貯留層と呼ばれるが、貯留層の温度や水分を維持するために蒸気の利用や還元を計画・実施することを、貯留層管理という。貯留層管理は、地熱資源を持続的に利用するために重要な技術である。

なお、近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電(hot dry rock geothermal power; HDR)の技術も開発されている[1]。地熱利用の機会を拡大する技術として期待されている。

地熱発電は探査・開発に比較的長期間を要し、探査した結果地熱利用がかなわない場合もあり、火山性の自然災害に遭遇しやすいリスクもある。しかし 燃料を必要とせず、環境に優しく、燃料の枯渇や高騰の心配が無い点で、すぐれたエネルギー源とされる。また再生可能エネルギー(自然エネルギー)の中で も、需要に応じて安定した発電量を得られる地熱発電はベースロード電源として利用が可能である点において、出力が不随意に変動する太陽光発電や風力発電と は異なった長所を有する。地球全体でみた資源量も大きく(再生可能エネルギー#資源量を参照)、特に日本のような火山国においては大きなポテンシャルを有 すると言われる。近年の枯渇性燃料の高騰によってコスト的にも競争力が増し、見直されつつある(下記)。

歴史と現状
1904年にイタリアのラルデレロにつくられたものが世界で最初の地熱発電所である。 2003年末の世界の地熱発電設備容量の合計は8,402MWである。国別首位はアメリカ合衆国(2,020MW)で、このうち約9割がカリフォルニア州 に集中している。他にネバダ州、ユタ州、ハワイ州で地熱発電が行われているが、エネルギー省では西部・南部の州で地熱エネルギー開発を進め、2006年ま でには地熱発電所のある州を8州にまで増やす計画である。アメリカに次いで発電容量が多いのは火山国フィリピン(1,931MW)。フィリピンは国内総発 電量の約4分の1を地熱でまかなう「地熱発電大国」である。

日本における地熱発電
日本では1919年に海軍中将・山内万寿治が大分県別府で地熱用噴気孔の掘削に成功、これを引き継いだ東京電灯研究所長・太刀川平治が1925年 に出力1.12kWの実験発電に成功したのが最初の地熱発電とされる。実用地熱発電所は岩手県八幡平市の松川地熱発電所(日本重化学工業株式会社)が 1966年10月8日に運転を開始したのが最初である。

地熱発電は石油などの化石燃料を使わないクリーンエネルギーであり、石油に匹敵する貴重なエネルギーを国産で採掘できることから、原油価格の変動 リスクがない国産エネルギーとして、見直しが進められている。費用対効果も向上しており、近年の実績で8.3円/kWhの発電コストが報告されている。

日本は火山が多く地熱開発の技術水準も高いが、地熱発電の総容量はおよそ561MWで世界第5位である。また、国内発電能力の1%にも満たない。 日本で地熱発電が積極的に推進されにくい理由は、地域住民の反対や法律上の規制があるためである。 つまり、候補地となりうる場所の多くが国立公園や国定公園に指定されていたり、温泉観光地となっていたりするため、景観を損なう発電所建設に理解を得にく いこと、温泉への影響に対する懸念があること、国立公園等の開発に関する規制があることなどである。 例えば、群馬県の嬬恋村では、現在地熱発電の計画が浮上しているが、その予定地が草津温泉の源泉から数kmしか離れていないため、温泉に影響が出る可能性 があるとして草津町が反対している。

このような既存の温水資源を利用せず温泉などとも競合しにくい技術としては高温岩体発電が挙げられ、38GW以上(大型発電所40基弱に相当)に およぶ資源量が国内で利用可能と見られている。多くの技術開発は済んでいるとされ、また現在の技術ならばコストも9.0円/kWhまで低減する可能性が指 摘されている。既存方式と合わせて国内電力の最大3割程度を賄える可能性があり、太陽光発電や風力発電に加えて地熱発電の開発も進めるべきだ、との指摘が なされている。2009年1月には、20年ぶりに国内で地熱発電所を新設する計画が発表されている。

行政も、2008年には経済産業省で地熱発電に関する研究会を発足したり、2010年度には、地熱発電の開発費用に対する国から事業主への補助金を、2割から3分の1程度にまで引き上げることを検討するなど[14]、地熱発電の促進が積極化している。

さらに将来の構想として、マグマだまり近傍の高熱を利用するマグマ発電の検討が行われている。開発に少なくとも50年はかかると言われるが、潜在 資源量は60億kW(6000GW)におよぶと見積もられ、これを用いると日本の全電力需要の3倍近くを賄えるだろうと言われている。

 

 

 

 

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